「ChatGPTを触ってみたことはあるけど、結局うちの会社でどう使えばいいの?」最近、中小企業の経営者の方から、こんなご相談をよくいただきます。
質問に答えてもらう、文章を要約してもらう……そこから一歩踏み込んで実際の業務効率化に繋げるにはどうすればいいのか、なかなかイメージが湧きづらいですよね。IT業界ではAI活用が当たり前になりつつありますが、専任のIT担当者がいない企業では、どうしても後回しになってしまうのが現状かと思います。
そこで今回はひとつの事例として、「AIに指示を出すだけでアプリが作れる」という最前線の開発手法を、弊社で実際に試してみた様子をレポートします!(今後、これ以外のAI活用方法も気が向いたら紹介するとかしないとか。)
わずか数分でアプリが爆誕
先日、弊社で、windowsで動くClaude CodeというAIツールを使い、こんな指示を出してみました。
next.jsで以下のアプリをつくってください。
# 使い道
複数人で旅行に行ったときに、その旅行代金を誰かが一括で立替えで払ったあと、旅行参加者のうち誰から誰にあとでお金を渡せばよい
か(清算すればよいか)を一発で計算してくれるアプリ# 使い方のイメージ
– まず幹事が旅行のタイトルと、参加者の名前を入力する
– その旅行のURLが発行される。幹事は参加者にそのURLを共有する
– 旅行中、誰かが何かの代金を支払うたびに、そのURLにアクセスし、誰が、いくらの金額を、何に使って、その費用の対象者は誰だった
のかを入力する
– 旅行がすべて終わったあとに、誰から誰にお金を清算すればよいのかが計算させる# 機能要件
– 会員登録なしで使える(個別に発行された「旅行ごと」のURLさえ知っていれば使える)
– 途中から旅行に参加する人などもいるため、すべての金額を等分で割り算するのではなく、費用ごとに誰が負担者なのかを選択できる
ようにする
このような「どんなアプリにしたいか」という日本語の要望を伝えたところ……なんと、ほんの十数分で実際に動くアプリが完成してしまったんです。
▼背景が黒い画面なので拒否反応があるかもしれませんが、空のフォルダを指定して日本語で指示をだしたあとは勝手にやってくれます。

▼実際にできたのがこちら(現時点で無料の範囲内の利用数しかないので公開しています。)
「精算するくん」 https://seisansurukun.vercel.app/
今話題のバイブコーディング
プログラミングの専門的なコードを自分で書くのではなく、日本語でAIと対話しながら(ノリと勢いで)高速にアプリを作り上げていく手法を、バイブコーディングと呼びます。
もちろん、完璧なものが一発で出てくるわけではありません。今回のアプリも、ベースとなるコードは一瞬で書いてくれましたが、実際にウェブ上に公開して誰でも使えるようにするまでには、微調整が必要でした。それでも、従来のように開発会社に依頼して何ヶ月もかけて作るのと比べれば、圧倒的なスピードと低コストで形になるのは間違いありません。
中小企業こそ注目すべき理由
うちはIT企業じゃないから、と敷居を高く感じるかもしれませんが、実はこの技術、中小企業にこそ大きなメリットがあります。
例えば、「社内の備品管理アプリ」や「シフト調整アプリ」など、世の中にある大掛かりなシステムを入れるほどではないけど、紙やエクセルの管理だとちょっと不便……というような隙間業務ってありませんか? そうした自社ならではの小さな不便を解消する社内用ツールであれば、AIを使ってサクッと自作できてしまう時代になったのです。
知っておくべきバイブコーディングの課題
夢のような技術に見えますが、実際にシステムを運用する立場として強く感じた課題と注意点が2つあります。
メンテナンスが超ハード
これが最大の落とし穴です。AIが自動で書いてくれたコードは、中身がよくわからないブラックボックスです。とりあえず動くというものは一瞬で作れますが、数ヶ月後に「やっぱりここにボタンを追加したい」「計算の仕様を少し変えたい」と思ったとき、コードの構造を理解していないと修正が非常に困難になると思われます。長期的な保守・運用には大きな課題が残ります。
セキュリティの担保が難しい
AIが生成したプログラムが、セキュリティ的に100%安全である保証はありません。今回の旅行精算アプリも、万が一情報が漏れても大きな痛手にならない用途だからこそ気軽に試せたという側面があります。顧客情報や会社の機密情報を扱うような重要なシステムを、いきなりAI任せで作るのは大変危険です。
しかし逆に言えば、社内だけで使ったり、機密性の低い情報だけを扱ったり、使い捨てのツールにするいう割り切りができれば、十分に活用の余地はあります。
まとめ
AIは今や質問に答えてくれるチャットボットから、欲しいツールを一緒に作ってくれる相棒へと進化しています。
「AIを経営にどう活かすか?」と大きなシステム導入から考える必要はありません。まずは「社内のちょっとした面倒くさいこと、AIで解決できないかな?」という身近な視点から始めてみてはいかがでしょうか。