見積もり作りって、ただの事務作業に見えるんですよね。でも実は、いくらでサービス提供するかという判断が入るので、業態によってはめちゃくちゃ時間を取られます。
特に、決まった値段の商品を売っているわけではなく、クライアントごとに内容を確認してその都度金額を決めてる会社は、毎回ゼロから考えるようなものです。
こういったとき、たいていは過去の見積書を引っ張り出して「似たような案件、前はいくらだったっけ」を確認しながら、今回との違いをあれこれ考えて価格を決める――そんなやり方になっていないでしょうか。
この、案件ごとに値段が変わる見積もり業務も生成AIを使うと効率化することができます。
料金表があっても例外は出てくる
たとえば、地域イベントの撮影をカメラマンに依頼する会社を想像してみてください。
普通の撮影なら「カメラマン1名、4時間までで◯円」「1名、8時間までで◯円」のような基本料金表を作ることができます。
しかし、実際の依頼って毎回同じではありません。
たとえば撮影時間は4時間でも、夕方から夜にかけての屋外イベントかもしれない。ステージから離れた場所も撮らないといけないから、明るい望遠レンズや暗い箇所に強いカメラが必要になるかもしれない。
さらに、会場が駅から遠くて機材を車で運ばなければいけなかったり、撮った写真の一部を「翌日の午前中までに」という形で素早い納品を求められたり。
こういう条件がついてくると、基本料金だけでは値段が決められなくなります。
担当者は過去の見積書を探して、「前の夜間イベントはいくらだったっけ」「特殊機材使ったときはいくら追加したっけ」と確認しながら、今回の価格を決めるわけです。
AIにやらせるのは値段ではなくて整理
AIを使うとき、いきなり金額を出させようとするのではなく、まずは依頼内容を整理させるのがおすすめです。
たとえばGmailに、こんな問い合わせが届いたとします。
「10月に開催する地域のお祭りの撮影をお願いしたいです。開催時間は17時から21時までで、屋外です。ステージイベントも撮影していただきたいです。会場が暗いため、必要であれば機材も用意してください。撮影した写真の一部は翌日の午前中までにいただきたいです」
AIはこのメールを読んで、撮影時間が4時間で夜間の屋外、ステージ撮影あり、特殊機材の可能性あり、短納期の条件あり――というふうにサッと整理できます。
また、来場者数や会場の広さ、動画撮影の有無など、見積もりに必要な情報で足りないものも洗い出すことができます。
過去の見積書から似た案件を探してもらう
次に、AIに過去の見積もりを確認させます。たとえば過去にこんな案件があったとしましょう。
| 過去案件 | 条件 | 見積金額 |
|---|---|---|
| A市の夏祭り | 昼間、5時間、カメラマン1名 | 80,000円 |
| B商店街の夜祭り | 夜間、4時間、特殊機材あり | 120,000円 |
| C市の花火大会 | 夜間、6時間、カメラマン2名、特殊機材あり | 220,000円 |
今回の案件に一番近いのはB商店街の夜祭りですね。
しかし今回には、翌日午前中までに一部納品という条件が追加でついています。
そこでAIには、一番近い過去案件をそのままコピーさせるのではなく、複数の案件を比較させることにします。
たとえばAIが「基本撮影費80,000円、夜間撮影対応20,000円、特殊機材費20,000円、短納期対応20,000円、合計140,000円」という見積案を出してくる――そんな使い方が考えられます。
さらには、どの過去案件を参考にしたのか、今回との違いは何か、なぜ追加料金がかかるのかといった内容をAIに説明させて、人はその理由を見たうえで最終的な価格を判断するようにします。
過去の見積書だけに頼ると落とし穴がある
過去の見積書だけをAIに参照させる場合、注意点もあります。
たとえば5年前に同じような撮影を70,000円で受けていたとしても、今は人件費や機材費が上がってて、その値段では引き受けられないというようなことが考えられます。
よって、Googleスプレッドシートに現在の料金ルールを入れておくと、より安定した見積もりが出てくるでしょう。
| 項目 | 現在の基準 |
|---|---|
| カメラマン半日 | 基本料金を設定 |
| カメラマン1日 | 基本料金を設定 |
| 夜間対応 | 条件に応じて加算 |
| 特殊機材 | 使用内容に応じて加算 |
| 短納期 | 納期に応じて加算 |
| 遠方交通費 | 実費 |
| 最低受注金額 | 下限金額を設定 |
すべての条件に細かい料金表を作る必要はありません。
「最低受注金額はこれくらい」「夜間対応は追加を検討」「特殊機材が必要なら個別に加算」――そういった基本ルールだけでも十分です。これにより、AIは今の料金ルールと過去の類似案件を組み合わせて、より現実的な見積案を作れるようになります。
人がチェックしてから正式な見積書にする
AIが作った見積案は、そのままクライアントに送るのではなく、必ず人が確認する運用を今回は考えました。
たとえばAIが140,000円と提案しても、担当者が「この会場、前にも撮影したことあるし、追加の照明機材は要らないな」と判断することもあります。
その場合は特殊機材費を外すようAIに指示すれば、見積内容を修正できます。
逆に、現場を確認した結果、カメラマンを2名にしたほうが良いとなれば、その条件を追加して再計算させることもできるわけです。
このように、AIが案を作り、人が判断し、修正をAIに反映させる――この流れにすると、見積もりの品質を保ちながら作業時間をグッと減らせます。
内容が決まったら、freee MCPのような、会計ソフトとAIを繋げるツールを使えば、会計ソフト側で正式な見積書を作成することもできます。取引先、件名、明細、単価、有効期限などをAIが入力してくれれば、決まった見積内容をまた人が転記する手間が省けるわけです。
返信メールの作成もAIに頼む
見積書ができたら、クライアントに送るメールも必要です。これもAIに作らせちゃいましょう。
元の見積もり依頼メールをAIが読んでれば、その内容に合った返信文を生成してくれます。最終的には、人が会計ソフトfreeeから見積書PDFをダウンロードして、Gmailの下書きに添付し、内容を確認してから送信するという運用にしておけば、安全性も確保できます。
まとめ
定価の商品がなくて、案件ごとに内容を確認しながら価格を決めてる会社でも、見積もり業務はAIで十分効率化できます。
Gmailに届いた依頼内容を整理し、過去の見積書から似た案件を探し、現在の料金ルールと比較しながら見積案を作るところまでをAIに任せる。その後、人が内容と価格を確認し、確定した見積もりをfreeeに登録し、メール送信前に最終確認をする。
人間の判断をなくすのではなく、その判断をするまでに必要な、探す、整理する、入力する、文章を書くという作業をAIに任せる――これが実務で使いやすいAI活用の形だと思います。
見積もりのたびに過去のメールや見積書を探しまわってる会社なら、取り組みやすく、効果も出やすい業務改善のひとつです。