選挙活動において車上運動員(ウグイスやカラスと呼ばれる人々)を活用する場合、報酬の支払いには公職選挙法の厳格なルールが適用されます。誤った対応をすると選挙違反となり、当選無効や刑事罰のリスクが生じるため、事前の理解が不可欠です。本記事では、政治家や支援者が守るべき報酬支払いのルールや例外事例を解説します。効果的な選挙活動にお役立てください。
政治活動や選挙のSNS活用を相談したいなら >>選挙運動員への報酬支払いは原則禁止だが例外がある
公職選挙法では、選挙運動員への報酬支払いが原則禁止されています。これは、金銭による投票誘導を防ぐための措置です。ただし例外的に、車上運動員の他、手話通訳者、要約筆記者、事務員といった法律で明記された職種に限り報酬が認められています。
車上運動員(ウグイス・カラス)は報酬を支払うことが可能ですが、必ず選挙管理委員会への届出が必要です。逆に言えば、車上運動員の届出を出し忘れていた場合、その車上運動員に報酬を支払うことはできないということになります。
選挙運動事務員等届出書の届出時に注意すべきポイント
選挙運動事務員等届出書の届出の際は、車上運動員の氏名や住所、性別などを明確に記入することが重要です。また、それに伴い人数の確定も必要です。まず人数については、選挙の種類によって上限が異なります。例えば、市長選挙(政令市を除く)では1日に他の報酬支払対象者も含めて12人までです。選挙ごとに異なるので、地元の選挙管理委員会に確認し、正確な数字を把握しておきましょう。
また、報酬の金額は、これも法律によって上限が定められています。車上運動員の報酬は1日当たり1万5,000円以内とされています。(なお、選挙運動のあり方を議論する与野党の協議会で、物価の動向等を踏まえて1日あたりの報酬額の上限を2万円にしようという案も出ています。)
この車上運動員の報酬を、ルールを超えて支払ってしまうと、事実上の買収とみなされるリスクがあるため法律はしっかりと守りましょう。なお、車上運動員の報酬上限額を超えた金額を提示した民間求人広告を見かけることもありますが、本当に上限額を超えているとしたら公選法違反となります。
また、求人広告で車上運動員を募集する際にも、業務内容を抽象的な表現としないことが大切です。抽象的な記載をしてしまうと、主たる業務がウグイスやカラスではなく別の業務ではないかと勘ぐられ、選挙違反と疑われる可能性があるため注意が必要です。
よくある失敗とその回避策
報酬支払いに関する失敗で最も多いのは、届出のタイミングを誤るケースです。活動開始後に届出を提出しても無効となり、最悪の場合には選挙後に当選無効になってしまいます。必ず選挙運動事務員等を使用する前に選挙運動事務員等届出書の提出を完了させましょう。
もう一つの失敗例は、車上や街頭演説活動とインターネット戦略の連携不足です。若年層へのアピールにはTikTokやInstagramが効果的ですが、車上運動員のスケジュールとデジタルコンテンツの公開時期がずれると、効果が半減します。自身で戦略立案が難しい場合は、政治分野に特化したSNS運用会社や若手プランナーが在籍するデジタル専門の企画会社に相談する方法もあります。
選挙後の報告書作成と保管義務
選挙終了後は、選挙運動費用収支報告書に車上運動員等への報酬を正確に記載します。支払総額や従事日数などを詳細に記入し提出する義務があります。
専門家の活用で効率化を図る
車上運動員の管理や法律遵守に加え、インターネット選挙戦略を並行して進める場合、負担が大きくなりがちです。特に動画編集やデータ分析に不安がある場合は、政治活動に精通したデジタルマーケティング会社への委託がおすすめです。たとえば、若手クリエイターが在籍する企業に「街頭演説とTikTok動画の連動企画」を依頼することで、世代を超えた支持拡大が期待できます。
まとめ
車上運動員(ウグイス・カラス)への報酬支払いでは、事前届出、人数制限、適正金額の3点を徹底することが不可欠です。同時に、現代の選挙戦略に欠かせないインターネット活用においては、専門家のサポートを受けることで法律違反リスクを抑えつつ効果的なPRを実現できます。選挙管理委員会のルールを定期的に確認し、透明性の高い選挙活動を心がけましょう。
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