インターネットを利用した選挙運動の注意点~電子メールの送信は可能か~

ネット選挙の時代、政治活動や選挙におけるインターネットやSNSの活用は避けて通れません。しかし、選挙運動においてインターネット等を利用する方法で文書図画を頒布する際には、法規制や運用上の注意点をしっかりと理解しておく必要があります。本記事では、ネット選挙の基本的なルールから、SNSや電子メールを活用する際のポイント、そして専門家への相談方法まで詳しく解説します。

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インターネット等を利用する選挙運動の基本ルール

インターネット等を利用する方法とは?

選挙運動において、「インターネット等を利用する方法による選挙運動用文書図画の頒布」という言葉があります。この「インターネット等を利用する方法」とは、電気通信の送信(放送を除く。)によって、選挙用のチラシの内容のような類を、相手方のスマホやパソコンの画面などに表示することだと言えます。このうち、ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動用文書図画の頒布とは、インターネット等を利用する方法のうち、電子メールを利用する方法を除いたものをいう、とされています。
つまりここでは、選挙運動において電子メール送信は除かれているということに注意する必要があります。
(ただし正確には、あらかじめ選挙運動用電子メールの送信の求め等を送信者に通知した者や、政治活動のメルマガを継続的に受診している者など、いわば日常からの支援者に対しては一定の条件のもと、送信が許されます。)

電子メールとは何か

ここでいうところの電子メールとは、SMTP方式による電子メールと、電話番号方式によるものが対象です。SMTP方式って何?と思われるかもしれませんが、通常スマホやPCで操作している電子メールはこのSMTP方式だと考えていただいて構わないかと思います。
一方で電話番号方式というのは、ショートメッセージをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
これらの電子メールによる送信は、選挙においてはおこなってはいけないということになります。

インターネットを利用した選挙運動とは?

上記で示したように、インターネット等を利用する方法とは、電子メール以外ということになります。ウェブサイトやSNS、動画共有サービスなどのインターネット技術を活用して、有権者に情報を伝達する選挙活動の手段を指します。特にSNSやYouTubeなどの動画プラットフォームは、若者層や幅広い有権者にリーチするための重要なツールです。
ちなみに、LINEは電子メールには当てはまらないので使用して構いません。なぜならばSMTP方式でもなければ電話番号方式でもないからです。LINEは「ウェブサイト等」に該当するのです。
もちろん、facebookのメッセンジャー機能なども選挙で使用して構いません。
なお、SNSを利用した選挙運動は、facebookやX(旧Twitter)、Instagram、YouTubeなどを活用して政策や活動内容を有権者に直接届ける手法です。SNSは特に若者にアプローチするための効果的なツールですが、誹謗中傷や虚偽情報の拡散などのリスクも伴います。

18歳未満の場合は使えない

電子メール以外のSNS等は選挙運動に使用できるとはいっても、年齢が18歳未満の者はこれに当てはまりません。なぜならば、インターネット選挙の許容範囲以前の問題として、そもそも18歳未満であることから選挙活動をおこなえないからです。
インターネットは若年層が使うツールですが、その政治家の支援者であったとしても、18歳未満の人がいる場合には気を付けましょう。18歳を超えていれば、一般の有権者がSNSを選挙運動に用いることは可能です。

SNSを利用する際の具体的注意点

匿名性の高いプラットフォームの活用リスク

XやInstagramのような匿名性が高いプラットフォームでは、炎上リスクや虚偽情報の拡散が懸念されます。候補者や政治家が発信する場合には、投稿内容の事前チェックやコメント管理体制を整えることが重要です。
また、動画プラットフォームの活用は、選挙活動の幅を広げる絶好の手段です。政策や支援者の声を視覚的に訴えることで、有権者の関心を引きつけやすくなります。ただし、著作権やプライバシーに関する法律を遵守しなければなりません。

表示義務

ウェブサイト等を利用する方法により選挙運動用文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレスやXのユーザー名、メールフォームなど、その者に連絡をする際に必要となる情報が正しく表示されるようにしなければなりません。通常のSNSアカウントの場合には、ユーザー名が表示されるので問題はないと思われますが、ウェブサイトを独自に作成する場合などには注意が必要と考えられます。

選挙当日の扱い

SNSを選挙運動に使用しても構わないとはいえ、これは選挙の投票日前日までに許された話です。選挙の当日には当てはまりません。つまり、例えば選挙期日当日にはウェブサイトの更新もできません。何か誤った情報をウェブサイトに掲載してしまっていたとしても、当日になるとその修正もできなくなってしまうのです。
一方で、選挙の前日までに掲載された情報は、削除しないでも構いません、そのまま削除せず、ウェブサイトに掲載したままにし、有権者の判断材料として残しておくことが可能です。

投稿頻度と内容のバランス

SNSでの投稿は、量より質を重視することが求められます。日常的な政治活動の様子や政策提案、支援者の声をバランスよく投稿することで、信頼感を醸成しましょう。また若者層にアピールするためには、関心を引く視覚的な要素や親しみやすい言葉を使うことが効果的です。YouTubeやショートメッセージ形式の動画コンテンツを活用するのも一案です。

選挙運動で成果を出すためのポイント

政策を明確に伝える方法

SNSや動画で政策を発信する際は、シンプルかつ具体的な表現を心がけましょう。有権者が政策に関心を持ち、投票行動につながるような内容を工夫する必要があります。

支援者とのオンライン交流の重要性

オンラインで支援者と対話する機会を設けることは、絆を深めるうえで効果的です。例えば、YouTubeライブやSNSでの質疑応答を通じて、親近感を高めましょう。

投稿分析と改善の繰り返し

SNS投稿の反応を分析し、次の戦略に活かすことが成功の鍵です。インサイトデータを定期的に確認し、改善を続けましょう。

炎上リスクを未然に防ぐ方法

政治家や候補者による投稿で炎上を防ぐためには、投稿前に内容をチェックし、慎重に言葉を選ぶことが重要です。ネガティブな反応が出た場合も、冷静かつ迅速に対応することで、被害を最小限に抑えられます。SNS運用が難しい場合、政治活動期間中にSNS運用代行会社や若者のプランナーがいるSNS専門企画会社に相談することも検討してください。専門家の力を借りることで、選対本部内にSNS担当者を育成し、選挙活動を効率的に進めることができます。

まとめ

ネット選挙やSNSを活用した政治活動は、効率的かつ広範囲に有権者へリーチできる強力な手段です。しかし、法規制やリスクを理解せずに運用することは、逆効果になる可能性があります。自分で運用が難しい場合は、政治活動期間中にSNS運用代行会社や専門家の助けを借りて、安全かつ効果的に選挙活動を進めていきましょう。

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